科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)(計画研究)
平成27年度〜平成31年度
「トポロジカル物質ナノ構造の輸送現象 」


本計画研究「トポロジカル物質ナノ構造の輸送現象」の目的は、半導体ヘテロ構造・低次元ナノ構造や超伝導体・強磁性体のハイブリッド構造をベースとした人工的な「トポロジカル物質ナノ構造」を用いて、個々のバルク母材料にはない新奇なトポロジカル量子現象を引き出し、トポロジカル系に特有なエキゾチックな準粒子の振る舞いを明らかにすることである。この結果をもとに、準粒子を用いた新しいトポロジカル物質ナノ構造デバイスの基礎原理を提案し、実験により原理実証を行う。
トポロジカル物質ナノ構造では、トポロジーとナノ構造により制限された自由度の下で、対称性・相互作用・近接効果が生む相乗効果により、従来の物質にはない特異な量子現象やエキゾチックな準粒子の発現が期待できる。本計画では、半導体ナノサイエンスで培った技術、すなわち半導体の特長であるゲート電圧によるバンド構造・スピン軌道相互作用の制御や高速制御・精密計測、ナノ加工、高純度結晶成長、超伝導体・磁性体接合(ハイブリッド化)技術を最大限に活かすことで、人為的制御により新奇なトポロジカル量子現象を引き出す。エキゾチックな準粒子(カイラルプラズモン、分数電荷、マヨラナ準粒子など)の振る舞いを明らかにすることで、ナノサイエンスの観点からトポロジカル系の物理を切り拓くことを目指す。人工トポロジカル相の創生・制御と、準粒子輸送現象(非平衡状態、動的挙動、量子統計、準粒子干渉、エッジ流、スピン干渉、スピン輸送)の解明を通してトポロジカル物質ナノ構造の基礎学理を確立し、準粒子を用いた新デバイスの基礎原理の構築へとつなげる。


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科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
平成27年度〜平成29年度
「フォノン共振器と量子ナノデバイスのエネルギー変換」


本研究「フォノン共振器と量子ナノデバイスのエネルギー変換」では、半導体表面のナノ構造に形成されたフォノン共振器中のフォノン系と量子ナノデバイスの電子系とのエネルギー変換に関する基本技術を確立することを目的とする。具体的には、GaAs 半導体表面に作製した周期的金属パターンにより表面弾性波フォノンのバンドギャップや共振器を形成し、半導体中の二次元電子に形成される量子ドットや量子ポイント接合などの量子ナノデバイスにおいて、フォノン散乱によって散逸するエネルギーをフォノン共振器に蓄積し再利用する技術の開拓を目標とする。量子ナノデバイスにエネルギー循環(リサイクル)機能を持たせ、コヒーレントな電子系とフォノン系の結合(フォノン版共振器量子電磁気学)や、高強度のフォノン場を利用した新しい電子状態制御技術につながる挑戦的かつ萌芽的な研究である。

研究代表者:藤澤利正(東京工業大学)


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科学研究費補助金(基盤研究(A))
平成26年度〜平成30年度
「量子ホールエッジチャネルの非平衡電荷ダイナミクス」


本課題「量子ホールエッジチャネルの非平衡電荷ダイナミクス」では、強磁場中の半導体二次元電子系のエッジチャネルにおいて、人工的な構造中における非平衡電荷状態の動的現象の観測により、電荷・無電荷輸送など顕著な量子多体現象を実現することを目的とする。具体的には、低周波電流雑音測定、時間分解・周波数分解の超高周波輸送現象・理論解析によって、整数及び分数量子ホール領域における、人工的構造を用いた朝永ラッティンジャー流体の挙動(スピン電荷分離など)の観測、電荷を伴わない無電荷熱輸送の検出と解明、エッジチャネルと他自由度との相互作用に関する理論研究を進める。これらの非平衡電荷ダイナミクスの物性研究により、プラズモン集積回路や量子情報伝達チャネルとしての可能性を追求する。

研究代表者:藤澤利正(東京工業大学)
研究分担者:橋坂昌幸(東京工業大学)
        都倉康弘(筑波大学)
連携研究者:村木康二(NTT物性基礎研)


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科学研究費補助金(特別推進研究)
平成21年度〜平成25年度
「半導体量子構造による電子波束のダイナミクス」
Dynamics of electron wavepackets in semiconductor quantum structures

 半導体超格子構造の提案以来、半導体量子構造を用いた電子波の制御技術は著しく発展した。例えば、MBE結晶成長技術による高品質ヘテロ構造では、整数・分数量子ホール効果など特徴的な量子状態が形成される。微細加工技術で作製された量子細線や量子ドットなど低次元構造により、局所的な量子状態を人為的に設計製作できるようになった。近年、量子干渉を短い時間で制御する量子情報デバイスの研究が盛んである。このように半導体量子構造は、電子を量子力学によって制御する舞台として研究され続けている。本研究は、静止した量子ドット中の電子状態の制御技術を、伝搬する電子波束のダイナミクスに発展するものである。電子波束を空間的かつ時間的に制御することによって、量子電子光学と電子波工学への発展を期待している。特に、一方向で散逸のない量子ホール系のエッジチャネルに注目し、電子波束の生成・制御・観測技術を確立し、電子波束の基礎物性と応用の可能性を追求する。

研究代表者:藤澤利正(東京工業大学)
研究分担者:村木康二(NTT物性科学基礎研究所)
        熊田倫雄(NTT物性科学基礎研究所)
        村上修一(東京工業大学)