研究所採用 R&D Recruiting Information
研究所の役割と紹介
研究所の人々
採用情報
会社情報
FAQ
サイトトップ
Key-Persons
電子1個を操る
藤澤利正 工学博士
物性科学基礎研究所
量子物性研究部
量子電子物性研究グループ 特別研究員
PROFILE詳細はこちら
藤澤利正 工学博士
単一電子ダイナミクスの探求
 J. J. Thomsonが電子の存在を示してから100年以上がたつ今日、「電子」は私たちの生活にさまざまな形で応用されています。例えば、半導体電子デバイスでは、電子の流れ(電流)を制御することによって、エネルギーや情報の伝達に役立っています。しかし、通常、電流は川の流れのように1個1個の電子(水の分子)の挙動について注目されることはありません。電子1個の粒子の運動を考えてみると、実に興味深い挙動を示すことが分かります。その性質を理解し制御することによって、新しいデバイスなどに役立てることができるのです。
 私たち量子電子物性研究グループでは、電子ビーム露光技術などによって半導体ナノ構造を作製し、希釈冷凍機による極低温(絶対温度で0.1度以下)環境下での高周波測定技術によって、単一電子の動的な振る舞い(ダイナミクス)の物性研究とその応用技術を探求しています。
粒子性と波動性
藤澤利正 工学博士 量子ドットあるいは人工原子と呼ばれる半導体ナノ構造を作ると、その中に電子を1個1個入れたり出したりすることができます。同時に、電子は波としての性質を有し、原子に束縛された電子のように、量子力学によって支配された電子軌道を占有するようになります。このような量子ドットを2個用意し、1個の電子を入れる場合を考えてみます。粒子的な性質から考えると、どちらかの量子ドットに1個の電子が入りますが、電子の波動性を考えると、1個の電子が2つの量子ドットにまたがって占有すること(重ね合わせ状態)ができるのです。
 このような粒子性と波動性の共存を利用して、量子コンピュータへの基本素子に応用できる可能性があります。波動性を利用してプログラム可能な干渉計をつくり、粒子性を用いてデジタル化された情報を読み書きする。単一電子のダイナミクスによって、量子コンピュータという超高速計算が実現できるかもしれません。
電流電子のカウンティング
 電子の挙動を観測する方法には、電流計やオシロスコープなどによる方法がありますが、従来のエレクトロニクスで観測できる電流や電圧では、電子1個の挙動を調べることはできません。高感度の電流計をもってしても毎秒1万個ぐらいの電流しか識別することができないのです。
 しかし、量子ドットを介して流れる電流の場合、量子ドットの電荷状態を高速電荷計によって読み出すことによって、電子1個1個の流れを観測できるようになります。実際、電流の電子を数え上げることによって、従来の電流検出限界を遥かに超える超高感度電流計を作ることができるようになりました。このような方法によって、電子1個の挙動を実時間で調べることができ、単一電子ダイナミクスの物性を調べる上で重要なツールになると考えています。また、電流は最も基本的な電気測定ですので、さまざまな高感度計測に応用できるでしょう。
ディテールにこだわる
藤澤利正 工学博士 研究者として重要なのは、いかに自分のこだわりを大切にして育てていくことだと思います。研究のミッションを達成するためにはさまざまなやり方があるはずです。世の中で主流の方法を踏襲するだけではなく、自分の考え方を自分の最も得意とする方法でトライしてみることによって、研究の進展が生まれるものだと思います。単なる実験の1ステップであっても、重要なノウハウが隠れているものです。先輩の気が付かなかったノウハウを発見できるようになったら、もう一人前ではないでしょうか。研究のステップ・ステップにこだわり、改善を積み重ねることで、世界をリードする独創的な研究に発展できると信じています。それを実現できるところが、『NTTの研究所』ではないかと感じます。

TOP
INDEX
物性科学基礎研究所
研究グループ探訪
若手座談会
Key-Persons
わたしのスタイル
YOUR POTENTIAL,OUR FUTURE
ご意見・お問い合わせ 著作権 privacy policy NTT HOME copyright(C)2005 日本電信電話株式会社
NTT