東京工業大学・理学院・物理学系/物理学コース

藤澤利正 研究室



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助教公募中(2017.11.10締切)

 研究内容
半導体ナノ構造を用いて人工的に設計されたポテンシャル中の電子のダイナミクスを研究することにより、低次元電子系の量子電子輸送現象を明らかにするとともに、応用可能なナノテクノロジー・量子情報技術への発展を目指しています。

  ・量子ホール効果エッジチャネルでの非平衡電子状態に関する研究(カイラルプラズモニクス:二次元電子に強磁場を印加すると、整数・分数量子ホール効果による絶縁領域(トポロジカル絶縁体)が形成され、試料の端を沿って電子が流れる一次元一方向の伝導モード(エッジチャネル:トポロジカルに保護された"一方通行"の伝導チャネル)が形成されます。電子相関によって形成される朝永ラッティンジャー流体、プラズモンモード(スピン・電荷分離)、分数電荷などを、高速電気パルス信号、量子ドットのエネルギー分光、相互相関雑音特性、などのよって調べています。プラズモンのコヒーレント伝導、単一電子伝導、超高周波伝導に関する研究を進め、一次元電子系の相関現象を探索しています。

  ・量子ドットの電子状態とフォノンとの相互作用に関する研究(フォノン版共振器量子電磁力学):櫛形の電極を用いることによりコヒーレントで単色な表面弾性波フォノン(表面付近に局在した音響格子振動モード)を発生することができます。GHz帯の表面弾性波を二重量子ドットに照射することにより、共鳴フォノン支援トンネル現象に関する測定を行っています。デバイスの表面に周期構造をつくることにより、フォノン共振器構造による効果を探求し、電子格子相互作用を人為的に操作することにより、デコヒーレンスの低減や新たな電子状態制御方法を開拓しています。

  ・量子ドット中の電子および電子スピンに関するダイナミクス(単一電子ダイナミクス:量子ドットは、電子数を正確に制御しつつ一電子または少数電子の明瞭な量子状態が現れることから、人工原子とも呼ばれ、原子で観測されてきた量子現象を人工的に制御できる形で再現することができます。このような量子ドットの電子状態を高速で制御したり、時間分解の観測技術を用いることにより、単一電子・少数電子の散逸・デコヒーレンスに関する問題や、電子相関・量子状態の物性研究、さらに量子情報処理や量子計算への可能性を研究しています。

YouTube [究極の単一電子エレクトロニクス]

 これらの研究は、NTT物性基礎研究所量子固体物性研究グループとの共同研究により行っています。

 具体的な研究内容としては、
1:半導体ナノ構造の作製
  電子ビーム露光装置などの半導体プロセスにより、10〜100 nm程度の量子ナノ構造(量子ドット)を作製します。より制御性の高い構造や測定に工夫した構造をを作製します。また、半導体結晶のフォノンを制御するよ うな構造(フリースタンディング構造、表面弾性波フィルター)を作製することによって、電子格子相互作用を制御する実験にも挑戦しています。
2:極低温高周波測定
  希釈冷凍機やヘリウム3冷凍機を用いて10〜300mKの極低温で、半導体ナノ構造の電子輸送特性を測定しています。高周波(1〜50GHz)や高速パルス電圧(立ち上がり時間 30ps程度)に対する電子のダイナミクス(電子軌道やスピンのコヒーレント振動など)を観測し、量子ビットの振る舞いや相互作用に関する研究を行います。また、高速電荷測定技術(高周波単一電子トランジスタ)を利用して、電流ゆらぎの研究や微小電流測定への応用を目指しています。

藤澤研究室では
  「電子1個(少数個)をあやつることに魅力を感じる人」
  「高速電気測定を用いた物性測定に興味がある人」
  「極低温環境での量子ナノ物性に興味がある人」
  「根気よく実験研究を進め、役に立つ(可能性のある)物性研究に興味のある人」
を歓迎します。連絡先:藤澤利正(fujisawaphys.titech.ac.jp)

入試に関する情報は、東工大物理学系のページをご覧ください。

研究室の内容については、志願者向けQ&Aも御覧ください。

藤澤研に所属すると、、、
学部4年生や修士1年生などの新人の方は、スキルアップトレーニングプログラムとして、半導体素子や量子ホール素子の室温・低温における電気伝導測定を行い、半導体ナノ構造や低温電子輸送特性に関する基礎知識と、実験技術を学びます(1〜2ヶ月)。その間に得られた経験や興味、指導教員や先輩からのアドバイスをもとに、研究室での自分の研究テーマを選定します(1ヶ月以内)。テーマが決まったら、少人数チーム(1〜3名)で研究(実験+解析+発表)を進めてゆきます。

藤澤研学生の研究テーマ(卒論・修論・博論)
==== 卒業論文 ====
・遠藤 孝晃、「電子のスピンに依存したHong-Ou-Mandel実験への試み」 2017.2
・高須 亮、「フォノン版共振器電気力学に向けた表面弾性波共振器構造」 2017.2
・江口亮太,「量子ホール領域の量子アンチドット素子の作製と測定手法」 2016.3
・伊藤広祐,「占有率2の量子ホールエッジチャネルにおける非平衡エネルギー分布」 2016.3
・鎌田 英紀, 「統計的手法による単一電子輸送の遷移速度の推定」 2015.3
・森田 恭維, 「対向する量子ホールエッジチャネルの電荷分断化現象」 2015.3
中澤 遼, 「量子ドットによる量子ホールエッジチャネルの非平衡分布測定」 2014.3
・檜山直晃, 「量子ホール効果におけるエッジチャネル間の相互作用」 2014.3
・渡瀬菜理衣, 「単一量子ドットを用いたスピン偏極電流の計数統計」 2013.3
・太田智明, 「電流ゆらぎの相互相関測定による量子ホール端状態の研究」 2013.3
・伊藤成顕, 「表面弾性波共振器中における量子ドットの電子格子相互作用に関する研究」 2012.3
・高井健作, 「高周波量子ポイント接合電荷計の磁場依存性に関する研究」 2012.3
・山岸正和, 「量子ポイントコンタクト間における背景電荷ゆらぎの相関測定」 2011.3
・村田竜二, 「半導体量子ポイント接合における非線形伝導における高調波歪み測定」 2011.3
==== 修士論文 ====
・鎌田 英紀、「エアブリッジ型ゲート電極を用いた単一アンチドットの形成」 2017.2
・森田 恭維、「超高周波エッジマグネトプラズモン励起のための光伝導スイッチの特性」 2017.2
・佐藤裕也、「表面弾性波フォノン共振器を用いた電子状態制御」 2016.2
・中澤遼、「量子ホールエッジチャネルにおける非平衡エネルギースペクトルの測定」 2016.2
・檜山直晃、「時間分解測定によるエッジマグネトプラズモンの干渉性」 2016.2
・太田 智明, 「電流ゆらぎ相互相関測定による量子ホール端状態における電子の非弾性散乱の検出」 2015.2
・今中 大介, 「二電子系半導体二重量子ドットのシングレットスピンブロッケードにおける核スピン偏極の効果」 2015.2
・渡瀬 菜里衣, 「実時間電荷検出による単一電子トンネル速度の高精度測定」 2015.2
・小坂玲雄, 「ガリウム砒素上の表面弾性波共振器に関する研究」 2014.2
・山岸正和, 「強磁場中量子ドットのスピン偏極単一電子トンネル電流の計数」 2013.2
・村田竜二, 「非平衡量子ホール端におけるエッジマグネトプラズモン伝搬特性」 2013.2
・水野翔平, 「半導体ナノ構造を内包する表面弾性波フォノン共振器の時間・周波数・空間分解測定」 2012.2
・西尾啓太郎, 「半導体表面の周期的金属構造における表面弾性波の伝搬特性」 2011.2
・鷲尾和久, 「量子ホール領域における量子ポイントコンタクトの高周波アドミッタンス測定」 2011.2
・長瀬 友宏, 「表面弾性波による半導体ナノ構造の電子格子相互作用に関する研究」 2010.2
・鎌田 大, 「量子ホール状態における電子波束伝播の時間分解測定に関する研究」 2009.2
・梶浦 亮, 「GaAs半導体構造における表面弾性波の伝播特性及び電気伝導特性に関する研究」 2008.2
・新海 剛, 「半導体二重量子ドットによる量子情報素子に関する研究」 2007.2
・富田律也, 「二重量子ドット電荷状態の時間分解測定とエネルギー緩和」 2006.2
====博士論文 ====
・鎌田 大「量子ホールエッジチャネルにおける非平衡電荷ダイナミクスの時間分解電気伝導測定」 2012.2
・新海 剛 「相互作用する2つの半導体電荷量子ビットのコヒーレントな時間発展に関する研究」 2009.8 博士論文

藤澤研の輪読
専門の研究内容に深く関わる教科書や関連する他分野の教科書を題材にしています。
・2017.4- Supriyo Datta, "Lessons from Nanoelectronics: A New Perspective on Transport", World Scientific (2012).
・2016.4-2017.3 Jiannis K. Pachos, "Introduction to Topological Quantum Computation", Cambridge University Press (2012).
・2015.4-2016.3 A. M. Zagoskin, "Quantum Engineering: Theory and Design of Quantum Coherent Structures", Cambridge University Press (2011).
・2014.4-2015.3 T. T. Heikkila, "The Physics of Nanoelectronics: Transport and Fluctuation Phenomena at Low Temperatures (Oxford Master Series in Physics)", Oxford Univ. Pr (2013).
・2013.4-2014.2 Supriyo Datta, "Quantum Transport: Atom to Transistor", Cambridge University Press (2005).
・2012.4-2013.2 Z.F. Ezawa, "QUantum Hall Effects: Field Theoretical Approach and Related Topics", World Scientific (2008).
・2011.4-2012.3 Yuli V. Nazarov and Y.M. Blantar, "Quantum Transport: Introduction to Nanoscience", Cambridge Univ. Press (2009)
・2010.4-2011.3 Stephen M. Barnett, "Quantum Information (Oxford Master Series in Physics)", Oxford Univ Press (2009)
・2009.4-2010.3 Supriyo Datta "Electronic Transport in Mesoscopic Systems" Cambridge Studies in Semiconductor Physics and Microelectronic Engineering.
・2008.10-2009.3 Peter Y. Yu & Manuel Cardona "Fundamentals of Semiconductors: Physics and Materials Properties" Springer.
・2007.10-2008.9 Rodney Loudon, "The Quantum Theory of Light" Oxford Science Publications.
・2006.10-2007.9 Malcolm H. Levitt, "Spin Dynamics: Basics of Nuclear Magnetic Resonance" Wiley.
・2005.4-2006.9 Michael A. Nielsen & Isaac L. Chuang, "Quantum Computation and Quantum Information"(Cambridge Series on Information and the Natural Sciences.
・2004.4-2005.3 Peter Y. Yu & Manuel Cardona "Fundamentals of Semiconductors: Physics and Materials Properties" Springer.

統計データ(2017.4.1)
のべ修了学生数:35 (学士:14, 修士:19, 博士:2)
学部→修士進学率: 14/14 = 100%
修士→博士進学率: 5/19 = 26% (修士→就職率: 13/19 = 68%、修士→研究生: 1/19=5%)
修士課程修了時の学会等発表件数:(1+3+0+3+0+3+2+2+5+3+0+4+2+2+3+3+4+1+0)/19 →平均: 2.2件
博士課程修了時の査読付論文件数(共著含):5+6 →平均:5.5件

論文数(査読付き論文誌)の統計。括弧内は学生が筆頭著者の論文数。
2017年:2(1)  Nature Phys. 1件 (2017.8.1現在)
2016年:2(1)  
2015年:5(2)  Phys. Rev. Lett. 2件、Scientific Report 1件
2014年:7(2)  Nature Nanotech. 1件
2013年:3(0)  Nature Commnun. 1件
2012年:4(1)  Phys. Rev. Lett. 1件
2011年:7(1)  Phys. Rev. Lett. 1件, Nature Phys. 1件
2010年:4(0)
2009年:5(3)  Phys. Rev. Lett. 2件
2008年:1(0)
2007年:2(1)
2006年:1(0)  Science 1件

藤澤研の歴史
2003年6月  NTT物性基礎研究所と東京工業大学大学院物性物理学専攻との連携講座として発足
2008年9月  東京工業大学・極低温物性研究センターに新装。
2010年11月 改組により、大学院理工学研究科・物性物理学専攻に異動。
2016年4月  東工大教育改革により理学院 物理学系/物理学コースとなる。