藤澤研究室志願者各位
よくある質問Q&A集
研究内容について
Q:藤澤研究室って、何を研究していますか?
A:ナノ構造・メゾスコピック系の電子輸送現象を研究しています。マクロと言うほど大きくなく、ミクロと言うほど小さくない、ナノメートルからサブミクロン寸法の世界(メゾスコピック系)では、量子力学に起因する特徴的な現象を、人為的に制御することができます。藤澤研究室では、メゾスコピック系の半導体ナノ構造の中で、電子がどのように動的な振る舞い(ダイナミクス)をするのかに興味をもって研究しています。電子の運動が、1次元(量子細線、エッジチャネル)や0次元(量子ドット)に制限された場合に観測される、電子・電子スピン・核スピン・フォノンに関する量子ダイナミクスが主なテーマです。
その他、研究概要研究紹介のページ論文一覧、も御覧ください。
Q:藤澤研究室でしかできない研究の特色ってあるのですか?
A:メゾスコピック系電子輸送現象の研究は、世界・日本中で多くの研究がなされています。藤澤研では、15年ぐらい前から、その時間依存現象に関わる事象を世界に先駆けて研究してきました。量子ドットなどのナノ構造にマイクロ波や高速パルス電圧を印加したときの電子の応答を調べたのがきっかけでした。量子ドットにとってみれば、マイクロ波はコヒーレンスの高い光(電磁波)なので、電子系とフォトンとの相互作用を観測できるわけです。その後も、電子1個(または少数個)のコヒーレント現象や、単一電子電流の計数統計(カウンティング)など、時間領域での研究について先端的な研究をしています。
Q:藤澤研究室の最近の成果はどんな内容ですか?
A:量子ドットを使った量子情報素子に関する研究では、二量子ビット演算に成功しています。「制御ノット」とか「交換」といった代表的な二量子ビット演算を、1つの素子で実現する「多機能ニ量子ビット素子」に成功しました。
A:量子ホール系でみられるエッジチャネル(試料端を伝導する一方向一次元チャネル)のクーロン相互作用について精力的に研究しています。特に、「朝永ラッティンジャー流体」として振る舞う人為的な構造を作製し、電荷素量(e)を入射したとしたら、より小さい電荷(q, e-q)に分断される「電荷分断化現象」の時間分解測定に成功しました。
A:量子ドットを構成している半導体(GaAs)の核スピンのゆらぎを抑制する手法を見出しました。試料に流れる電流ノイズから、核スピンの偏極の様子をみることができます。条件を変えると、流れる電子たちが核スピンのゆらぎを自動的に抑制してくれる安定的フィードバック領域や、ゆらぎが増大してしまう不安定フィードバック領域があることを示しました。
Q:藤澤研究室の研究は、どのような役に立ちますか?
A:応用的な観点では、ナノ構造での量子現象を利用した機能素子が実現できると面白いと思います。それが、物理の研究の進展に役立つ素子だったり、第三者(広く一般市民)の役に立つと非常に嬉しいです。例えば、電子1個1個を数えられる電流計(単電子電流計)は、藤澤研で実現した究極の高感度電流計です。電流は、電気測定の基本計測なので、その感度が電子1個の流れまで測定できるほど高いということは、応用範囲は広いはずです。単に感度が高いというだけでなく、非平衡系で期待される「ゆらぎの定理」の検証実験にも使われました。
また、電子状態のコヒーレント制御は、量子情報素子への発展性が見込まれます。さらに、時間分解の電荷測定により、超高周波素子への応用も期待しています。多体電子系の素過程を明らかにするツールとしての価値も高いと思っています。などなど。
A:「志願者本人にとってどう役立つか」という質問であれば。半導体の中での量子現象を自分自身の実験で経験することによって、量子力学が日常のできごとのように感じられるようになると思います。量子力学を使った現象は、日常生活で見られるほど普及はしていませんが、研究室レベルでは頻繁に観測できます。半導体チップの中で電子を操ってみることは、よい経験になると思います。
Q:日々の研究は、どのように進むのですか?
A:藤澤研究室では、「ナノ構造を作製」して「極低温で測定」することによって、最先端の研究を行なっています。主に、「極低温での(高周波)測定」に重きをおいて実験していますので、大抵の新人の方は、測定するところから研究をはじめます。測定してみて、改良すべき点が解ってから、新しい試料(ナノ構造)を作ります。
A:極低温実験では、クライオスタット(用途に応じて、10mK〜4K)を用いて、試料を冷やします。電気測定・高周波測定をするための配線をすることも重要です。特に(低温用)同軸ケーブルの配線や、試料への接続などに注意を払います。目的に応じて、測定系を組み上げます。試料が冷えたら、いよいよ測定です。
ほとんどの装置がコンピュータ制御になっているので、PCの前でいろいろなパラメーター(電圧・周波数・パルスタイミング)を調整しながら、電流特性などを確認します。量子ドットとか量子ホール効果などの基本特性をおさえてから、目的の研究テーマに入ります。予測通りの結果がでることもありますが、そうでないこともあり、問題点を探しながら研究を進めます。
A:ナノ構造作製では、高い電子移動度をもつ半導体ウエハーを加工(プロセス)します。1回の加工プロセスで何種類もの試料を作ることができるので、研究室メンバーでディスカッションを重ねて設計してゆきます。自前で作ったシミュレーターで予測を立てながら、ナノ構造の形状や寸法を決めてます。フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーのCADパターンを作成し、エッチング・蒸着・熱処理などの過程を経て試料が出来上がります。
Q:藤澤研究室では、どのような装置を使いますか?
A:半導体ナノ構造を作って、測れる装置がひと通りそろっています。
半導体ヘテロ構造ウエハーは、NTT物性基礎研究所から提供して頂いています。微細加工は、NTT物性基礎研究所に作製を依頼しているものと、藤澤研究室で作製しているものがあります。藤澤研究室では、フォトリソグラフィ、電子線リソグラフィー(ナノプラットフォームの支援をうけています)を用いて、電子ビーム蒸着装置、化学エッチング、熱処理装置、などにより、試料を作製することができます。
出来上がった試料は、極低温実験装置で測定します。He4冷凍機(1.5K)、He3冷凍機(0.3K)、希釈冷凍機(10mK)、無冷媒希釈冷凍機(10mK)を用いて測定します。各装置には、高周波同軸ケーブルが設置されており、用途によって、高速パルス電圧や高周波信号を印加し、その応答を測定しています。
実験装置のページも御覧ください。

研究室の運営について
Q:ゼミはどのように行われますか?
A:毎週1回のゼミでは、英文の本読み(輪読:持ち回りで本の内容を説明・解説する:1時間程度)、英語での研究紹介(持ち回りで、最近の研究進展状況を説明する:1時間程度)を行なっています。月に1回の月刊報告では、1ヶ月の進展と次のひと月の予定を全員に話してもらい、進行状況を確認しています。あとは、個別の研究テーマに関連したミーティング(現在、量子ホール効果に関するものと、量子ドットに関するものがあり、両方に参加している人もいます)が、1ヶ月に1回ぐらいあります。
Q:藤澤研究室の研究は、個人プレーですか、チームプレーですか?
A:研究室には、大雑把に2〜3つぐらいのチームがあるのですが、個人個人で異なる研究テーマをもっています。1年目の人は上級生などと組んで研究を進める場合が多いですが、2年目からは一人で実験できるようになります。ただし、実験装置(極低温のクライオスタット)は共用なので、研究室中で助けあって、装置の維持・整備や実験技術に関する情報交換を行なっています。
Q:研究テーマは、どのようにして決まるのですか?
A:多くの人は、メゾスコピック系の研究分野に経験や知識がない状況で研究室に入っていきます。こちらからいくつかの研究テーマの案を提示しますので、その中から興味のあるテーマを選んでもらいます。先輩や教員などの様子を見聞きしながら、テーマを選定します。研究経験のある人の場合は、個別に相談してテーマを選定しています。
Q:藤澤研の研究に関する経験や知識がないのですが、大丈夫でしょうか?
A:多くの学生は、全く経験も専門知識もなく入ってきますので、全く問題ありません。研究室に入って、スキルアップトレーニング(2〜3ヶ月かけて、基本的な実験技術や研究方法を学習する)をこなすと、だいたいのことはできるようになります。さらに、ゼミや個別ミーティングによって、研究に密接に関連する事柄を学習していきます。きちんと研究室に来て研究に励めば、1〜2年で学会発表ができるようになります。
Q:徹夜の実験とか、土日の実験もありますか?
A:基本的にはありません(薦めません)。夜間・土日は、コンピュータが自動測定してくれます。日中に、実験の条件をきちんと整えておいて、夜間や土日にコンピュータの自動測定を走らせて、綺麗なデーターを取ることが多いです。でも、締切が迫っていて頑張っている人には、応援します。
Q:レクリエーションはありますか?
A:人の出入りがあるときの歓送迎会、忘年会、暑気払いなどの飲み会があります。あとは、有志が集まって、バーベキュー、スキー、スポーツ大会、関連研究室との飲み会などがあります。

主に卒業研究配属(新学部4年生)の方へ
Q:藤澤研究室は、朝何時に始まり、夜何時までかかるのですか?
A:特に時間は決めていません。朝型の人、夜型の人、自分のやりたいように進めてください。でも、ある程度、自分のリズムを作って、研究室で過ごす時間を決めたほうがよいと思います。3年生までの(受け身的な学習になりがちな)座学と異なり、研究室では自分から能動的に学習しないと進みません。受動的に進める人と、能動的に進める人とでは、研究の進展に大きな差がでます。なるべく研究室に居る時間を多くとり、先輩などの研究を見聞きすることで、知見を増やしましょう。自然とやり方がわかってくると思います。
Q:大学院入試の勉強をする時間はとれますか?
A:どうぞ、勉強してください。4年生の場合、4〜6月ぐらいにスキルアップトレーニングを実習し、自分の実験テーマに関する研究を始めた(勉強し始めた)あたりで、6〜7月の物理学コロキウム第一で学習成果を発表する場があります。7〜8月は、大学院入試の勉強モードに入る人が多いです。9月から、卒論に向けた研究が本格的に始まります。12月の物理学コロキウム第二までに、具体的な実験に取り掛かっていれば、3月の卒業論文発表会に向けてつき進むのみです。
Q:卒業研究の面白さって、なんでしょうか?
A:時間や日数が限られた学生実験では、用意された実験装置で、与えられた課題をこなすものが多かったのではないでしょうか? 卒業研究では、実験装置を準備するところから始めます。買い揃えるところから始める場合もあります。1個1個の実験装置や部品を組み上げることによって、研究が進んでいくわけです。初めは失敗からスタートするかもしれませんが、どんな所に注意を払って実験すればよいか、どんな計画をもって挑んでいけばいいのか、を考えていくうちに、きっと新しい発見(実験している人にとっての発見・気付き)があるはずです。その発見ができるようになれば、実験・研究の面白みがわかってくるでしょう。
Q:藤澤研究室で卒業すると、どんな学士になれますか?
A:まず、メゾスコピック系の研究分野に詳しくなります(なってほしいです)。毎週のゼミやミーティングなどでの学習を通じて、専門用語を使いこなせるようになります。研究室の1つの研究テーマを受け持つことによって、研究の進め方がわかるようになります。担当した部分の実験に関しては、一人でできるようになります(なるはずです)。学士論文を書き上げれば、かなり理解が深まるはずです。

主に大学院修士課程を目指す受験生の方へ
Q:研究室を見学させてもらうことは可能ですか?
A:もちろんです。藤澤研究室を志願するなら、メールで藤澤にアポイントメントをとって、1回は見学に来てください。自分の目で研究室を見ることはとても重要だと思います。物性物理学専攻の入試説明会(例年土曜日)での訪問でもいいのですが、できれば、1人で来てくれたほうが親身に説明できますし、平日だと在学生が実験している様子を見ることもできます。
ちょっとだけ覗いてみたい場合には、YouTubeの動画で研究室の様子が見れます。興味が湧いたら見学に来てください。
Q:東工大出身と他大学出身の志願者で、差異はありますか?
A:入試に関して言えば、全くありません。2004-2016年入学学生の統計では、38%の学生が他大学出身の学生です。
Q:出身が工学系の研究室なのですが、藤澤研究室でやっていけますか?
A:今までも、工学部出身者を何人か受け入れています。藤澤研究室の内容は、物理と工学(主に電気系)とがオーバラップする領域ですので、きちんと物理的な興味をもって勉強してきた人なら大丈夫だと思います。物性物理学専攻の入学試験をパスした人なら、藤澤研究室で十分に力を発揮できるはずです。
Q:修士課程の2年間は、どのようなカリキュラムになっていますか?
A:M1から藤澤研に入った場合は、スキルアップトレーニングから始まります。M1の前期(後期も)は、授業が多いので大変ですが、夏休みあたりからは研究に専念できるようになります。M1の12月にある物性物理学コロキウムで、研究進捗について発表する場があります。このあたりが、就職するか、博士課程に進学するかを決める時期で、どちらにしても、コロキウムでの発表経験が活かされると思います。M2になると研究に専念して、2月の修士論文発表会を目指します。この間に、よい成果がでれば、学会や国際会議での発表などを経験することができます。
Q:藤澤研究室で修了すると、どんな修士になれますか?
A:メゾスコピック系の研究分野に精通することはもちろんですが、自分が担当した研究テーマで学会発表や論文発表ができるようになります。学会発表は、それなりに準備が大変ですが、自分の研究が他の研究者に納得してもらえると、喜びもひとしおです。多くの学生は、修士修了までに1〜2回は学会や研究会などで発表する機会があります。
一連の研究活動を経験することによって、(藤澤研の研究内容に留まらず)様々な研究・開発の仕事をこなせる人材として社会で飛躍できるようになります。
Q:藤澤研究室から、どんなところに就職していますか?
A:修士卒の場合、電気関連メーカーが多いです。何割かは、博士課程に進学しています。

主に大学院博士後期課程進学を目指す方へ
Q:他大学(他の研究室)から、藤澤研の博士後期課程に入学することは可能ですか?
A:基本的には、入試に合格すれば可能です。ただし、修士課程の研究内容や経歴にもよりますので、ご相談ください。
Q:博士課程の研究は、どのように進むのですか?
A:修士課程である程度の研究経験があり成果が出ている人(大抵そういう人が進学します)は、博士課程では学生自身の意思を尊重して実験を進めていきます。教員の助言のもとに、自分のアイデアで実験を進めることができます。失敗もあると思いますが、その分、成功したときの感動は大きくなります。修士課程よりもレベルの高い実験に挑戦し、英語で論文を執筆します。学会発表を何回かこなすようになると、学外の研究者との交流も増えます。
Q:博士課程で、いい成果がでるか(論文が書けるのか)心配です。
A:確かに、心配ですよね。やってみると、海路が開けることも多々あります。
実験をはじめるときは、研究の方向性・目的を決めてから取りかかるのですが、準備を万端に整えて、予測したとおりの成果がでてくれば、嬉しいです。これを、ヒットといいます。でも、うまくいかないとしても、その理由を考えていると、実は思いもよらなかった事実が潜んでいること多々あります。実験ミスや偶然の出来事ではなく、誰も気が付かなかった本質的な事柄に出会うこともあるわけです。運良くそれに出会えたなら、ホームランです。やってみないと解らないから、実験研究が重要なわけです。
Q:博士課程まで進むと、経済的な負担が心配です。
A:一番よいのは、日本学術振興会の特別研究員に採用されることです。藤澤研の博士課程学生3名のうち2名は特別研究員になっていました。
また、東工大のRA・TA制度、その他の奨学金制度を活用することもできます。
Q:博士課程を修了すると、どんなところに就職していますか?
A:まだ、例が少ないのですが、電気メーカーに就職した方、ポスドク研究員として研究を継続している方がいます。
Q:藤澤研究室で修了すると、どんな博士になれますか?
A:自分が担当した研究テーマで、世界のトップレベルの研究に携わることができます。国際会議での発表を複数回こなし、世界の研究者からの質問に(もちろん英語で)受け答えができるようになります。論文発表(もちろん英語で)を複数回執筆することによって、筋の通った論理的な展開で、自分の研究をアピールすることができるようになります。論文は、世の中に永久に残る研究の証なので、出来上がった紙面(最近は電子版)を見たときの喜びは大きいですね。その論文を見た国内・海外の研究者から問い合わせ等の反響があると、研究者としての自信がつきます。博士課程学生は、ほとんど一人で研究を行なっていますから、まさに自分の研究(仕事)をやっているという自負がでてきます。「いい仕事してますねぇ〜」と言われるような博士になってほしいです。
一連の研究活動を経験することによって、(藤澤研の研究内容に留まらず)様々な研究・開発での独創性を発揮できる人材として社会で飛躍できるようになります。